What is Hakata-ori

博多織とは

Weaving eight centuries of craftsmanship
into every thread.

時代を超えて、
織り継がれる技。

時代を超えて受け継がれる、織りの技。
博多織は、約800年の歴史を持つ
福岡・博多を代表する伝統的な絹織物です。
その特徴は、見た目の美しさだけでなく、
使うほどに実感できる機能性と品質にあります。
筑前織物は、この博多織の技術を受け継ぎながら、
現代の暮らしに合う新たな価値を織り続けています。

The Origins of Hakata-ori

博多織の起源

鎌倉時代、嘉禎元年(1235年)33歳の満田彌三右衛門(みつたやざえもん)は、圓爾辯圓(えんにべんえん)(勅諡聖一国師(ちょくししょういちこくし))と共に謝太郎國明(しゃたろうこくめい)の船で、南宋(中国)明州へ向け、博多の津を出発します。

宋に6年間滞在して、圓爾辯圓は禅の修行をし、満田彌三右衛門は織物、朱、箔、素麺、麝香丸の5つの製法を修得して、仁治(にんじゅ)2年(1241年)博多の津に帰ります。

博多に戻った彌三右衛門は、これらの製法を博多の人々に伝え、その中の織物技法だけは家伝とし、広東織と称して独特の技法を加えながら代々伝えていきました。

さらにその約250年後、彌三右衛門の子孫、満田彦三郎が中国・広東へ渡り、織物の技法を研究して帰ったと伝えられており、その技法を彦三郎は竹若藤兵衛に伝え、共に改良工夫して、琥珀織のように地質厚く、浮線紋もあり柳条もあるという織物を作り出しました。

さらにその約250年後、彌三右衛門の子孫、満田彦三郎が中国・広東へ渡り、織物の技法を研究して帰ったと伝えられており、その技法を彦三郎は竹若藤兵衛に伝え、共に改良工夫して、琥珀織のように地質厚く、浮線紋もあり柳条もあるという織物を作り出しました。
そしてその織物が作られたこの土地、博多の地名をとって、「覇家台織」(はかたおり)すなわち博多織と名づけられたと伝えられています。

萬松山(ばんしょうざん)勅賜承天禅寺(ちょくしじょうてんぜんじ)(博多織との繋がり)
承天禅寺は鎌倉時代、博多織の始祖 満田弥三右衛門と聖一国師が中国宋に渡り、6年間修行をして博多に戻った年に聖一国師が開山した禅寺です。
以来、博多織 縁の寺として今日に至っており、毎年博多織功労者の慰霊祭をはじめ、ここ数年は博多織求評会が行われています。

Characteristics of Hakata-ori

博多織の特徴

実用性と格式を兼ね備えた織物。

博多織は、その丈夫さから

古くは武士の帯として用いられ、

現代でも帯として高く評価されています。

また、献上品として扱われてきた歴史から、

格式ある織物としての側面も持ち合わせています。

機能美としての織物

博多織は、見た目の美しさと同時に
“使うための織物”として発展してきました。

密度の高い織り

細い経糸(たていと)を多く使し、
太い緯糸(よこいと)を強く打ち込むことで、張りと厚みのある生地が生まれます。

締めやすく、緩みにくい

高密度に織られた構造により、帯として締めた際に緩みにくく、
安定した着用感を実現します。

絹鳴り音

帯を締めた際に生まれる「キュッ」という音。
これは、糸同士が擦れ合うことで生まれる博多織特有の質の高さの証です。

意匠の美しさ

献上柄をはじめとする幾何学的な文様は、長い歴史の中で磨かれてきたデザインです。シンプルでありながら力強く、現代にも通じる普遍的な美しさを持っています。

献上柄

独鈷(どっこ)と華皿をかたどった文様は、江戸時代に幕府へ献上された由緒ある意匠。博多織を象徴する、格式ある伝統の柄です。

The Making of Hakata-ori

博多織ができるまで

織り上がるまでに、長い準備の時間をがかかる博多織は、
実際に織る工程だけでなく、その前段階の準備に多くの時間を要する織物です。
「織物は仕掛けが八割」と言われるように、 仕込みの精度が品質を大きく左右します。
また、他産地は意匠、整経、製織など分業化されている事が多い中、
筑前織物は自社一貫体制(染色を除く)にて制作しています。社内で職人を育成、連携することによって、
責任あるモノづくりを行なっています。

1. 図案・意匠(デザイン)

一本の織物のはじまりは、デザインを描き起こす作業から。伝統意匠と新しい図案を組み合わせながら、糸の色、柄の配置、布全体のリズムを構想していきます。続いて、その図案を織りの設計図へと落とし込みます。経糸と横糸の交差、糸の太さ、本数、織組織。幅1mmにも満たない一本の糸まで、緻密に設計されていきます。今ではデジタルでの作業が主流ですが、最終的にどの色をどこに入れるかは、意匠者の経験と感性が決めていきます。

2. 精練(せいれん)

蚕の繭から紡いだ生糸には、もともと糊やセシリンと呼ばれる油分が含まれています。これを石けんや炭酸ソーダを用いて数時間かけて丁寧に取り除き、絹本来の柔らかさと光沢を引き出していく工程です。この精練を経て、糸ははじめて染色を受け入れる状態になります。

3. 糸染め(染色)

約600色以上ベースカラーを元に、染色職人が目で一色、一色確認しながら色合わせを行い、色の深みや表情をもった絹糸を染め上げます。同じ色番でも気温・湿度・染料の状態で発色が変わるため、最終判断は染め手の目と経験に委ねられます。

4. 糸繰り(いとくり)

染め上がった糸を、次の工程で扱いやすいように枠木へ巻きなおす工程です。
ここで張力が乱れると織りの段階で糸が切れたり柄が崩れたりします。
糸の張りを一定に保ちながら巻きあげる。
美しい織物の土台は、この工程でつくられます。

5. 整経(せいけい)

意匠図の設計通りに、経糸をロール状に巻き上げる工程です。
博多織は経糸で色と柄を表現する織物。
一本単位で本数を数え、配色を確認しながら巻き上げていきます。
数千本の糸を一本も間違えずに揃える、
博多織のなかでも特に間違いが許されない工程の一つです。

6. 経継ぎ(たてつぎ)

整経で巻き上げた経糸を、織機にかかっている前の経糸と一本一本結びつけていく工程です。数千本にも及ぶ糸を、手作業で結ぶ。一本の結びの遅さで、一本の織物の品質が決まる──そんな緊張感のなかで、ようやく経糸の準備が完了します。

7. 管巻き(くだまき)

緯糸を、杼(シャトル)にセットするための管へと巻いていく工程です。織物によって、合わせ本数が変わります。管巻きをしながら、同時にキズや段が入っていないかチェックしながら製織を行います。

8. 製織(せいしょく)

その日の湿度、絹糸のテンションなどを職人の感覚を頼りに、打ち込みが適切に入っているか、段やキズが入っていないかを確認しながら製織を行います。熟練度が上がるにつれて、より複雑な組織や丁数の多い帯制作を担当します。

9. 仕上げ・検品

織り上がった織物は、細部まで確認し、品質を整えます。専属の職人が一本一本、細部まで確認し品質を整えます。図案を描いてから、お客様の手元に届くまで、いくつもの手と時間が重なって、博多織が生まれていきます。

About Imperial Offering Patterns

献上柄について

仏具をかたどった独特の意匠、献上柄。
その源流は鎌倉時代にまでさかのぼります。
博多商人の満田弥三右衛門が宋(現在の中国)へと渡り、織の技を学んで帰国したのが博多織のはじまり。
同行した臨済宗の僧・聖一国師との交流のなかで、仏具を文様へと昇華させたこの図柄が生まれたと伝えられています。
【「献上」という名の由来】
この帯が「献上柄」と呼ばれるようになったのは、江戸時代のこと。
筑前福岡藩 初代藩主の黒田長政が、毎年欠かさず幕府へ献上品として納めたことで、博多織の名は全国に響き渡りました。
やがてその図柄もまた、由緒を示す「献上柄」の名で語られるようになります。

【五色献上】
献上された帯には、古代中国の五行思想――「木・火・土・金・水」を映す五つの色が用いられました。
この思想はのちに儒教の五常へと重ね合わされ、青(仁)、赤(礼)、黄(信)、紫(徳)、紺(知)の五色は、今日「五色献上」として受け継がれています。

仏具のモチーフ|魔除け・厄除け

・独鈷(とっこ)

密教において、煩悩を打ち砕く法具として用いられてきた仏具。悟りを求める菩提心を象徴し、邪気を払う力を宿すとされています。

・華皿(はなざら)

仏前に花を散らして供養を捧げる際に用いる、神聖な器。祈りの場を整えるための仏具として、古くから大切にされてきました。

縞のモチーフ|家内安全・子孫繁栄

・中子持縞(親子縞)

太い線が「親」を、その内側に並ぶ細い線が「子」を表します。親がそっと子を抱き包む姿に重ね、家内安全への祈りが織り込まれています。密教において、煩悩を打ち砕く法具として用いられてきた仏具。悟りを求める菩提心を象徴し、邪気を払う力を宿すとされています。

・両子持縞(孝行縞)

中子持縞とは反対の構図。内側の細い線から外へと太い線が広がる形が、家系が代々受け継がれていくさまを象徴し、子孫繁栄の願いを宿します。