そろばん。
今では、なかなか見る機会も少なくなった道具ですが、
呉服業界では、まだまだ現役。
もちろん、最近は電卓を使うことも増えてきました。
それでも、筑前織物の展示会などでは、今でもそろばんが活躍しています。
では、いったいどんな時にそろばんを使うのでしょうか?
「声に出さない商談」
筑前織物の展示会では、限られたスペースの中に、問屋さん、小売店さんなど、何社ものお客様が同じ会場にいらっしゃることがあります。
そんな時に登場するのが、そろばん。
例えば価格や取引条件。
声に出してしまえば、周りのお客様にも聞こえてしまいます。
そこで、そろばんの玉を動かして、
「この条件でどうでしょう?」
と、そろばんの中で条件を提示する。
相手もそろばんを見て、
「もう少し……」
と、また玉を動かす。
言葉ではなく、そろばんを介して商談が進んでいきます。
周りのお客様への配慮から生まれた、ちょっと独特な商談方法です。

問屋さんと小売店さんの間でも
これは筑前織物の展示会だけではありません。
呉服業界では、メーカー、問屋、小売店という流通があります。
例えば、
メーカー → 問屋さん
問屋さん → 小売店さん
というように、それぞれの商談の中で条件を提示する場面があります。
そんな時にも、そろばんが使われることがあります。
僕が初めて見た時に驚いたのが、そろばんの中で4つのアイテムの条件を同時に提示して、そのまま交渉していたこと。
「え、今これで4つの商品の条件をやり取りしているの?」
と、ちょっとびっくりしました。
ベテランになると「玉の動き」でわかる
さらに面白いのが、ここから。
ベテランの方になると、そろばんの玉の動きを見ただけで、どんな条件なのかがわかるそうです。
そして商談の最後。
あえて玉を動かして、
ジャッ!!
と、そろばんを切る。
この音が、なんともかっこいい。
数字を計算しているだけではありません。
そこには、長年の経験と、商談の呼吸のようなものがあります。
電卓の時代になっても
もちろん、電卓を使う機会は増えました。
それでも、筑前織物の展示会をはじめ、呉服業界では、そろばんがまだまだ現役で活躍しています。
計算するための道具。
そう思っていたそろばんが、実は**「声に出さずに条件を伝える道具」**として使われている。
これも、呉服業界に残るちょっと面白い文化なのかもしれません。
そして今日も、どこかの展示会で、
ジャッ!!
という音が響いているかもしれません。
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