工房訪問
5月末の快晴のある朝、電車に乗って福岡市西区の周船寺駅に降り立ちました。
筑前織物グループの製造部門「福絖織物株式会社」はここにあります。
※現在、合併しましたので「筑前織物」です。
筑前織物の製造部門を担う周船寺工場。。
伝統の柄を尊重しつつ、新しい流行をとり込み、斬新なデザインで毎年様々な賞を受賞しています。
伝統工芸士の上石辰男(かみいし たつお)。博多織ひとすじ37年の大ベテラン。毎年、博多織求評会の通商産業大臣賞や内閣総理大臣賞、文部科学大臣賞、九州経済産業局長賞を受賞している博多織伝統工芸士です。
伝統工芸士 上石の特徴はその精密さ。美しいデザインをコンピューターにとり込み、精密なドット表現できめ細やかな織地のデザインを反映しています。
「実際に織った時にデザインがどのように反映するのか?常にイメージしながら精密な意匠を心がけ、品物創りに取り組んでいます。」と語る上石さん。職人の風格が漂います。
その精密な仕事は承天禅寺の御住職にも認められ、御住職の着用されている袈裟を製織させていただきました。
また、筑前織物周船寺工場では、技術の向上・お客様のニーズに応えるとともに、時代をつなぐ若手伝統工芸士に育成にも力を入れています。この日も若き女性デザイナーが新しいデザインに取り組んでいました。
おおっ!!ここでもデザインの記録媒体はフロッピーディスク。大量の3.5インチFDと共に5インチFDも健在でした。
「それでは工場内をご案内しましょう~」と丸本徹部長。
おお~~~長い!!軽く30mは先に続いている向上には機械化された製織り機がギッシリ。約30台の力織機がガシャンガシャンと力強い音をたてながら、緻密な文様を織り上げています。
以前は手機で織られていた博多織ですが、現在では9割以上が力織機になっているとのこと。
緻密な博多織を織るには非常に長い時間がかかり、機械化された力織機を用いたとしても、1本の帯を織り上げるには1週間から10日ほどかかるそうです。緻密で繊細な作業の賜物です。
博多織は細い経糸(たていと)を多く用い、太い緯糸(よこいと)を筬で強く打ち込み、主に経糸を浮かせて柄を織り出すのが博多織の特徴。材料となる絹糸を幾重にも撚り合わせて作ります。
筑前織物周船寺工場では機械された力織り機だけでなく、受け継がれてきた手機の技術を残そうという試みも行われています。
丸本社長によると、インテリアデザイナー今宮優子さんがデザインしたショールームには多くの見学者が訪れるだけでなく、博多織の技術を習得したいという希望者も県内県外から多く来ており現在空きがない状況だそうです。
筑前織物株式会社
周船寺工場について:https://chikuzen.co.jp/susenji/