承天寺で開催される博多織最大の新作発表会と筑前織物の受賞作品
福岡・博多には、長い歴史を持つ「博多織」があります。
その博多織の一年を締めくくり、そして新しい一年の始まりを告げる大切な行事が、毎年11月に開催される「博多織求評会(はかたおり きゅうひょうかい)」です。
会場となるのは、博多織発祥の地として知られる承天寺。
歴史ある博多の街並みを感じながら、全国から集まった博多織の新作を見ることができる、博多織を代表するイベントです。
そして、筑前織物にとっても、この博多織求評会は一年のものづくりの集大成。
ここから、新しい博多帯が全国へと旅立っていきます。
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博多織発祥の地「承天寺」から始まる物語
博多織の歴史を語るうえで欠かせない場所が、福岡市博多区にある承天寺です。
鎌倉時代、宋から帰国した聖一国師・円爾弁円が博多の地に承天寺を開き、宋から伝わった織物の技術が博多織のルーツの一つになったと伝えられています。
現在の博多には、その歴史を感じさせる場所が数多く残されています。
その一つが、博多の歴史的な街並みへの入口として整備された博多千年門です。

博多千年門から承天寺へ。
古くから人や文化が行き交ってきた博多の街を歩いていると、現在の博多と、かつての博多がつながっていることを感じることができます。
そして毎年11月、この歴史ある承天寺を舞台に、現代の博多織が一堂に集まります。
それが「博多織求評会」です。
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博多織求評会とは?
博多織求評会は、博多織工業組合が主催する博多織業界最大のイベントです。
毎年、博多織工業組合に所属する織元や作家などから、数多くの新作が出品されます。
帯を中心に、
- 袋帯
- 佐賀錦
- 紋八寸なごや帯
- 紗八寸なごや帯
- 男帯
- 小袋帯
- 着尺
など、さまざまな博多織を見ることができます。
例年、200点以上の新作が出品され、メーカーごとの個性や、その時代の着物市場の傾向、デザインや織りの新しい表現などを一度に見ることができます。
つまり博多織求評会は、単なる「展示会」ではありません。
博多織メーカーにとって、一年間かけてつくり上げた新作を発表する重要な場なのです。
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全国の問屋・小売店が集まる、博多織の大きな商談の場
博多織求評会は、一般のきものファンが楽しむイベントである一方、博多織業界にとっては重要な商談の場でもあります。
一次審査では、全国から集まった問屋や小売店などの業界関係者が新作を審査。
その後、一次審査で上位となった作品を有識者が審査し、各賞が決定されます。
メーカーにとっては、
「今年はどんな博多織をつくったのか」
「これからどんな博多帯を提案していくのか」
を全国のお客様に直接見ていただく機会です。
そして、ここで発表された新作が、その後全国の呉服店や展示会などを通じて、お客様のもとへ届けられていきます。
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博多織工業組合員が、それぞれの技術と感性を競う
博多織求評会に出品するのは、博多織工業組合に所属する織元や作家などです。
同じ「博多織」であっても、メーカーや作家によって得意とする表現は異なります。
伝統的な献上柄を現代的に表現するもの。
複雑な組織を組み合わせ、立体感を生み出すもの。
夏帯ならではの透け感や軽やかさを追求したもの。
佐賀錦など、異なる技法を取り入れたもの。
求評会では、そうした一つひとつの個性を実際の作品として見ることができます。
だからこそ、博多織を知る人にとっては、一年に一度の楽しみでもあります。
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博多織求評会の「賞」とは?
博多織求評会では、優れた作品にさまざまな賞が贈られます。
その中でも、多くの博多織メーカーが目標とする最高賞の一つが、内閣総理大臣賞です。
ほかにも、文部科学大臣賞、経済産業大臣賞、九州経済産業局長賞など、さまざまな賞があります。
受賞作品には、その年の博多織を代表する作品として注目が集まります。
そして筑前織物も、これまで博多織求評会で数多くの賞を受賞してきました。
なかでも、内閣総理大臣賞は最多受賞を重ねています。現在、筑前織物の公式サイトでは15回以上の受賞歴を紹介しています。
👉博多織求評会受賞作品一覧は、こちらへ
筑前織物にとっての博多織求評会
筑前織物にとって、博多織求評会は特別なイベントです。
求評会の日程に向けて、意匠を考え、糸を選び、織りの設計を行い、製織する。
一つの新作が完成するまでには、多くの人が関わります。
東京支店、京都支店、本店、そして周船寺工場。
それぞれの場所で得たお客様の声や市場の情報を商品開発につなげ、工場の意匠部や製織部などが力を合わせて、新しい博多織をつくっていきます。
求評会に向けた新作づくりには、半年以上の時間をかけることもあります。
だからこそ、承天寺に作品が並ぶ瞬間には、一年間のものづくりが凝縮されています。
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求評会から生まれる「筑前織物の新作」
筑前織物では、毎年の博多織求評会に合わせて、新作の帯や着尺などを制作しています。
そして求評会の時期には、福岡市西区にある周船寺工場の大展示場にも新作が集まります。
求評会に出品した作品をはじめ、筑前織物が制作した商品を全国の問屋・小売店のお客様に見ていただき、商談や受注につなげていきます。
つまり筑前織物にとって、
承天寺の博多織求評会=新作を発表する場所
周船寺工場=新作を全国のお客様へ届ける場所
という二つの大切な役割があります。
博多織求評会を起点として、新しい博多帯が全国へ広がっていくのです。
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筑前織物の受賞作品
筑前織物がこれまでに博多織求評会で受賞してきた作品には、さまざまな技術と表現があります。
ここでは、その一部をご紹介します。
第123回 内閣総理大臣賞
紋八寸なごや帯「隆毘間道」
第123回博多織求評会では、筑前織物の「隆毘間道」が内閣総理大臣賞を受賞しました。
平織り、綾織り、朱子織りという三原組織を組み合わせ、さらに意匠技術やもじり織を取り入れることで、立体感や遠近感を表現した作品です。
一見すると一枚の帯ですが、その表情の中には、博多織の組織設計と製織技術が詰め込まれています。
第122回 内閣総理大臣賞
紋八寸なごや帯「七宝間道」
前年の第122回では「七宝間道」が内閣総理大臣賞を受賞しました。
こちらも平織り、綾織り、朱子織りを組み合わせ、さらにもじり織を加えることで、立体感や素材感を表現しています。
第117回 内閣総理大臣賞
紗八寸なごや帯「紗窓」
夏の装いに合わせる紗八寸なごや帯。
「紗窓」は、夏帯ならではの軽やかな表情に、博多らしい献上柄を取り入れた筑前織物の代表的な夏帯の一つです。
第116回 内閣総理大臣賞
佐賀錦「無双錦」
佐賀錦「無双錦」は、第116回博多織求評会で内閣総理大臣賞を受賞した作品。
その後、きもの雑誌「美しいきもの」の表紙にも掲載されました。
このほかにも、筑前織物では長年にわたり数多くの受賞作品を生み出しています。
一つひとつの受賞作品には、その時代のデザイン、技術、そして筑前織物のものづくりに対する考え方が表れています。

約2000人が訪れる、福岡の観光資源へ
博多織求評会は、業界関係者だけのイベントではありません。
一般公開の日には、例年約2,000人前後が訪れます。
きものファンはもちろん、博多織を初めて見る方、観光で博多を訪れた方など、幅広い人が博多織に触れる機会となっています。
普段はなかなか入ることのできない承天寺という歴史ある場所で、実際の博多織を間近で見る。
博多千年門から博多の歴史を感じ、承天寺へ向かい、そこで現在の博多織を見る。
そこには、800年ともいわれる博多織の歴史と、現代のものづくりが一つにつながる瞬間があります。
その意味でも、博多織求評会は博多の文化を知ることのできる貴重な機会となっています。
11月、博多織の一年が終わり、また新しく始まる
博多織メーカーにとって、11月の博多織求評会は一年の大きな節目です。
しかし、それは終わりではありません。
新作が発表され、賞が決まり、全国のお客様に作品を見ていただく。
そこから商談が始まり、展示会が始まり、新しい商品がお客様のもとへ届けられていきます。
だから私たちにとって、博多織求評会は、
「一年の集大成」であると同時に、「新しい一年のスタート」でもあります。
筑前織物では、博多織求評会に向けて新しい作品をつくり、その作品を周船寺工場の展示場から全国のお客様へ届けています。
承天寺で発表される一枚の帯。
その背景には、意匠を考える人、糸を準備する人、織機を動かす人、検品する人、そして全国のお客様と向き合う営業スタッフがいます。
一枚の帯から、その背景にある「ものづくり」を知っていただく。
それが、筑前織物が博多織求評会を大切にしている理由です。

第124回博多織求評会
2026年の第124回博多織求評会は、11月13日(金)・14日(土)・15日(日)に、博多織発祥の地・承天寺で開催されます。
入場は無料。
今年も博多織工業組合員による新作が集まり、博多織の新しい表現が発表されます。
筑前織物からも、新しい作品が出品される予定です。
今年はどんな博多帯が生まれるのか。
どの作品が評価されるのか。
そして、その作品がこれからどのように全国のお客様へ届けられていくのか。
博多織の一年は、11月の承天寺から新しい物語を始めます。
博多織発祥の地・承天寺で開催される博多織求評会。
ぜひ、博多千年門から博多の歴史を感じながら、現在の博多織に触れてみてください。
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