筑前織物の展示会を覗いてみると、平地八寸名古屋帯だけでも、たくさんのデザインや色目が並んでいます。
一見するとシンプルな平織の帯ですが、その表情をつくっているのが、博多織ならではの高密度な経糸です。
7,000本から1万本弱の経糸を並べる
平地八寸名古屋帯では、商品によって異なりますが、7,000本から1万本弱もの経糸を使用します。
しかも、単純に同じ色の糸を並べるわけではありません。
意匠部が考えたデザインをもとに、何色もの糸を、何本ずつ、どの位置に並べるのか。
その設計が指図書に細かく記されています。
そして、その指図書を見ながら経糸を準備するのが整経の職人さんです。



「糸を並べる」だけではない整経の仕事
7,000本、8,000本、時には1万本近い糸。
それを決められた順番に、一本一本間違えないように並べていきます。
細かな色の組み合わせになるほど、確認することも増えていきます。
「次は何色を何本か」
「この部分は何本ずつ変わるのか」
指図書と糸を何度も見比べながら、慎重に作業を進めます。



一本の間違いが、織り上がった帯の表情を変えてしまう。
だからこそ、正確さと集中力が求められる仕事です。
華やかな帯を見ているだけでは、この工程の大変さはなかなか分かりません。


博多織は、織る前から「柄」が始まっている
西陣織では緯糸による表現を特徴とするものが多く、経糸を一色で準備する場合もあります。
一方、博多織では、経糸そのものに色をつけ、多くの糸を高密度に並べることで表情をつくることがあります。
つまり博多織は、織機を動かす前から、職人さんの仕事が始まっているのです。
意匠を考える人がいて、その指図を正確な糸の配列に変える整経職人がいる。
そして、準備された経糸を使って、織りの職人さんが一枚の帯に仕上げていきます。

展示会では「職人さんの仕事」も見てほしい
平地八寸名古屋帯は、華美な装飾を施した帯ではありません。
だからこそ、糸そのものの美しさや職人さんの技術が、そのまま表情になります。
展示会で帯を見るときには、ぜひ少し近づいて経糸を見てみてください。
何気なく見える縞や色の変化のひとつひとつにも、職人さんが何千本もの糸と向き合い、間違いのないように並べていった時間があります。

7,000本から1万本弱の経糸。 その一本一本を人の手で整えていく。
そう考えると、シンプルに見える平地八寸名古屋帯も、また違った表情に見えてくるのではないでしょうか。
博多織の美しさは、完成した帯だけではなく、そこに至るまでの職人さんの手間と技術の積み重ねによって生まれています。
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