博多織のものづくりを語るうえで、欠かすことのできないのが「意匠(デザイン)」です。
博多織業界の大きな特徴の一つに、自社一貫体制があります。
意匠、製織など、ものづくりに必要な工程を自社で行い、一つの作品を仕上げていく。
一方、西陣織などでは、工程ごとに専門の職人や事業者が分担する「分業制」が基本となっており、産地によってものづくりの仕組みには大きな違いがあります。
今回は、その中でも「デザイン・意匠」に焦点を当てて、筑前織物のものづくりをご紹介します。

「デザインする人が自社にいる」ことは当たり前?
皆さんは、織元には当然のようにデザインを担当するスタッフがいると思われていないでしょうか。
実は、必ずしもそうではありません。
博多織の織元の中でも、自社で意匠スタッフを抱えているところもあれば、外部のデザイナーなどに意匠を依頼しているところもあります。
筑前織物には、自社の意匠デザイナースタッフが4名在籍しています。
その中には、伝統工芸士もいます。
日々、博多織のデザインと向き合いながら、新しい柄や色、表現を生み出しています。

デザインから「織物」へ
意匠デザイナーの仕事は、単に「絵を描く」ことではありません。
博多帯や着物のデザインを考え、それを実際に織ることができる「織物データ」へと変換し、製織工程へつなげていきます。
頭の中にあるイメージを、織機で表現できるデータへ落とし込む。
そして、実際に織り上がったものを確認し、必要であればデザインや色を修正する。
デザインと製織をつなぐことも、意匠の大切な仕事です。
だからこそ、博多織のデザインには、色や柄だけでなく「織ることを理解している」という視点が求められます。

帯や着物だけではありません
筑前織物の意匠部門が手掛けているのは、博多帯や着物のデザインだけではありません。
これまで培ってきたデザイン力を活かし、異業種のお客様からご依頼いただいたデザイン業務や、広告物などのデザインにも対応しています。
織物の世界で培ってきた「柄」「色」「素材」「バランス」といった感覚を、さまざまな分野へ広げています。
伝統的な意匠をそのまま使うのではなく、その考え方や美意識を新しい分野に取り入れる。
そこには、博多織のデザイナーだからこそできる提案があります。

お客様とデザイナーが直接打ち合わせ
最近では、呉服業界の問屋様や小売店様が筑前織物の工場へ来社され、デザインについて直接打ち合わせをする機会も増えてきました。
「この柄をもう少し変えてみたい」
「もう少し明るい色にしたい」
「この着物に合わせるなら、どんな色がいいだろう」
そんな細かなご要望を、お客様とデザイナーが直接話しながら形にしていきます。
色の確認をしながら、その場で意見を交わす。
こうしたコミュニケーションから、新しいデザインが生まれることも少なくありません。

異業種との出会いから、新しいデザインが生まれる
異業種のお客様との打ち合わせでは、営業担当が間に入りながら、意匠スタッフがデザインの提案を行うこともあります。
「博多織らしさ」を残しながら、新しい用途に合わせてデザインする。
伝統的な柄や色の考え方をヒントにしながら、これまでの博多織にはなかった表現を考える。
異なる業界の価値観と出会うことで、私たち自身も新しい発見があります。
それは、伝統を守るだけでは生まれない、新しいものづくりにつながっています。

意匠から始まる、ものづくり
博多織は、糸を準備し、織機を動かせば完成するものではありません。
どんな柄にするのか。
どんな色にするのか。
どのような組織で表現するのか。
その最初のイメージをつくる「意匠」は、博多織のものづくりの出発点です。
筑前織物では、意匠から製織までを自社でつなぐことができる強みを活かし、これからも新しいデザイン、新しい表現に挑戦していきます。
博多織の技術やデザインに興味をお持ちの方。
「こんなデザインを織物で表現できないだろうか」
「自分たちの商品に博多織の技術を取り入れてみたい」
そんなご相談も、ぜひお聞かせください。
伝統を知っているからこそ提案できる、新しいデザインがあります。
筑前織物と一緒に、これまでにないものづくりに挑戦してみませんか。
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